手紙を書こう おまけ1

 さらに数日後。

 代筆の手紙が来て以降も応援を続ける良人さんだったが、この日、ふらりと良人さんが探偵事務所に来たとき、凪が言った。

「あ、良人さん。ちょっと聞いてくれよ」

「なんだい? 凪くん」

 凪は立ち上がって、ポケットからなにかの紙を取り出し、良人さんに差し出した。

「ぼくって情報屋をしてるだろう? その関係で、例のアイドルのコンサートチケットが手に入ったんだ。不幸中の幸いと言うべきか、ぼくは興味ないし良人さんはあのアイドルが好きだったから、このチケットをあげるよ」

 不幸中の幸いの使い方間違ってるぞ。

 でもよかったな、良人さん。

 良人さんはつっこみも忘れて凪に抱きついた。

「ありがとう! 凪くん、ありがとう! ボクは誰より凪くんのファンかもしれない。凪くん大好き。あはは」

「やめてよ、気持ち悪い」

「いいじゃないか、あはははは」

 と、嫌がる凪を抱きしめる良人さん。

 やっと落ち着いてきた良人さんが凪から離れると、凪は言った。

「チケットは二枚だから誰か誘っておくれ。大人気のようだし、他にも同志はいくらでもいるだろうさ」

「そっか。二枚か。楽しみだね、凪くん」

「ん?」

 と、凪は小首をかしげる。

「いっしょにライブ、楽しもう」

「え、ぼくは別に興味な……」

「くぅ~! たぎるぅ~! 凪くんとライブだー」

「いや、だからぼくは……」

 こうして、凪と良人さんのコンサート行きが決定した。

AokiFutaba Works 蒼城双葉のアトリエ

オリジナル作品を掲載中。

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