手紙を書こう おまけ2

 コンサート当日。

 なぜか、このコンサートには、俺たち少年探偵団六人も来ていた。

「ぼくだけではなにかと不便かと思って」

 凪がどんな手回しをしたのか知らないが、さらに五人分も手配したという話だ。

 しかも、コンサートの席は特別席になっている。

 特別席ってことで俺と鈴ちゃんは緊張気味、逸美ちゃんはいつも通りマイペースにふわふわしていて、ノノちゃんはウキウキした様子、作哉くんはなんだかとても居心地が悪そう。周りにいる人たちも怖い顔したヤクザかヤンキーみたいな作哉くんにびびっている。

 張り切る良人さんに話しかけられて迷惑そうな凪だったが、ここで、誰かメガネをかけたお兄さんがやってきた。お兄さんはとても優しそうな雰囲気で、俺たちにも笑顔で言った。

「みなさん、今日は来ていただきありがとうございます」

「お兄さんは誰だい?」

 凪に聞かれて、お兄さんは笑顔で答える。

「プロデューサーの者ですよ。どうぞ楽しんでいってくださいね」

「はい!」

 と、ノノちゃんと良人さんが元気に返事をする。

 そのとき、誰か別のスタッフがお兄さんを呼んだ。

「おーい、ちょっとこっち手伝ってくれる?」

「はい。わかりました」

 お兄さんは俺たちに向き直って、

「すみません。ではみなさん、お楽しみください」

「早く来てくれ、赤羽根くん」

「はーい」

 ……。

 ん?

「赤羽根って確か……」

 と、良人さんがつぶやき、俺たちはお兄さんを見直した。

「あ!」

AokiFutaba Works 蒼城双葉のアトリエ

オリジナル作品を掲載中。

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