茶柱 おまけ

 凪からもらった宝くじが当たった翌日。

 放課後、俺が探偵事務所にやってくると、応接間のテーブルと和室のテーブルの上いっぱいに、湯呑みに並々つがれたお茶があった。

 和室のほうは湯呑みが尽きたから紙コップだ。

「どうしたの? これ」

 俺が驚いて声を上げると、逸美ちゃんが教えてくれた。

「凪くんが淹れてくれたの」

 すると、給湯室から急須を手に持った凪が現れた。

「お? 開じゃないか。どうしたの?」

「それはこっちのセリフだよ! どうしてこんなことしたんだ!」

 凪は平然と、

「開が昨日言ったろ? せこいことはするなって」

「いや、それは言ったけど……」

 ふふんと鼻を鳴らして凪は飄々とお茶をつぐ。

「ぼくはせこせこなんかしないで茶柱を立たせることにしたんだ」

 だからって、ここまで豪快にしなくても……。

 このあと、少年探偵団と花音と良人さんと浅見さんで、全部のお茶を飲んだ。

AokiFutaba Works 蒼城双葉のアトリエ

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