ポケモンセンターへリベンジ 小学生との戦い おまけ

「ぼくはちょっと用事を思い出したから、先に帰っててよ」

 凪は用事があるということで、ポケモンセンターを出た俺たちは先に帰ることにした。

 探偵事務所に帰って、良人さんがせっせとポケモンを育てていると、しばらくして凪も戻ってきた。

「ただいま」

「おかえり~」

 逸美ちゃんはそう言って、すぐにお茶の準備をしてあげた。

 俺は気になって尋ねた。

「えらく早かったけど、さっきの用事ってもう済んだの?」

「うん。たいしたものじゃないから」

「ふーん」

 戻ってきた凪に、良人さんはゲームをしながら聞いた。

「ねえ、凪くん。それにしても、どうしてあんなに伝説のポケモンとか珍しいポケモンを持ってるの? 詳しく教えてよ」

「交換したからさ」

「バトルをして?」

「いや。バトルでゲットしたのは一匹しかいない。ただ珍しいポケモンを作って、交換に出しただけだよ」

「珍しいポケモンって、凪くんも伝説を?」

凪はかぶりを振る。

「ううん。バトル施設で勝つとBPっていうポイントがもらえるだろ? ああいうポイントって、弱い人は勝てないからもらえないんだ。だけど、そのポイントで交換できるアイテムを使わないと進化できないポケモンもいる。そういうのを開と一緒に作って交換したりしてたのさ」

「なるほど。すごいね」

「それほどでもないよ」

 しかし、俺は気になったことがある。

「凪、さっきバトルでゲットした伝説とか珍しいポケモンもいるって言ったじゃん?」

「言った」

「それってどれ? 俺知らないんだけど」

「これさ。今年の映画限定配布のポケモン。映画行けなくて持ってなかったから助かったよ」

 そう言って凪が見せてくれたのは、映画館に行った人しかもらえない幻のポケモンだった。俺も持っていないやつだ。

「あ、いいなー! って、これ……」

 ポケモンには、親というものがある。そのポケモンを最初にゲットした人が親になるのだが、このポケモンの親は「じゅんた」となっていた。

「いや~。今日は収穫があったな~」

 ぐっと腕を伸ばしてそうつぶやき、凪は逸美ちゃんが淹れてくれたお茶をすする。今日買ったブラッキーのぬいぐるみの頭をなでてやり、

「今日は大活躍だったね~。他のみんなの出番すらなかったんだから」

 俺はそんな凪を呆れた顔で見る。

「ほんと、よくやるよ」

「子供こそ目上の人を敬う気持ちが大切なのさ」

 と、凪が悟った顔に、俺は言ってやった。

「おまえが言うな」


つづく

AokiFutaba Works 蒼城双葉のアトリエ

オリジナル作品を掲載中。

0コメント

  • 1000 / 1000