2017.12.22 15:41最年少は純粋無垢なしっかり者 放課後。 俺は探偵事務所にやってきた。「開くん、おかえり~」 にこにことした笑顔で逸美ちゃんが迎えてくれる。それはいつものことだけど、もうひとり、俺を迎えてくれる先客がいた。「開さん、おかえりなさい」 そう言ったのは、小学四年生の女の子。 名前は能々乃野ノノ。 俺はこの子をノノちゃんと呼んでいる。まだ小学四年生ながら平然とこうして探偵事...
2017.12.22 15:35ヤンキーは怖いけど優しい いつものように起床してお茶の間に行くと、いつものように花音が朝ごはんを食べていた。ついでにいつものように凪もうちで朝ごはんを食べている。 自分の家で朝食を済ませればいいものをと思うがさすがに寝起きではつっこむ気力もなかったので、普通に二人にはおはようと挨拶した。「そういえば、逸美ちゃんはまだ寝てるよ」 花音が笑いながら言った。 言われて...
2017.12.22 15:33なんにしたって家族は多いほうがいい 明智家。 俺が帰宅すると、いい匂いがしていた。 今日はカレーか。「ただいまー」「おかえり、開ちゃん」 お母さんがうれしそうに出迎えてくれた。「どうしたの? やけにうれしそうだけど。俺、別にテスト返されたりしてないよ」「そんな自意識過剰なこと言って、今日も調子いいわね」 うふふ、とお母さんが笑った。「どんな調子のよさだよ。それで、なにかあ...
2017.12.22 15:31お嬢様はリアクションが大きい お嬢様といえば、良家の娘を指すことが多いだろう。 品行方正。 育ちがよい。 そんな印象を持ったお嬢様が、ただ探偵をしているだけの普通の高校二年生の俺の周りにもひとりだけいる。 年は俺より二つ下の中学三年生。 金髪ツインテールで実はクオーターだと聞いている小柄な少女。 名前は御涼鈴。 俺は彼女を鈴ちゃんと呼んでいる。 そしていまも、学校の...
2017.12.22 15:29家族に遠慮はいらない 今日も探偵事務所には依頼が来なかった。 すっかり日も暮れてきたことだし、俺はそろそろ帰ることにした。「逸美ちゃん、今日もお疲れさま」「開くんもお疲れさま~。もう帰るのね」「うん。逸美ちゃんは?」「まだ凪くんがいるし、凪くんが帰ったらわたしも帰ろうかしら」 まったく、凪のやつ。「おい、凪。逸美ちゃんもこう言ってるんだし、早く帰れよ。むしろ...
2017.12.22 15:28放課後は探偵事務所へ「あ、お兄ちゃん。偶然だね!」 妹の花音が自転車をこいで近寄ってきた。「花音、いま帰り?」「うん。お兄ちゃんも学校終わったの?」「終わったよ」 俺の前まで来た花音は自転車を止めて、ヘルメットを取った。「じゃあいっしょに帰ろうよ。いっしょに帰ると、きっと楽しいよ」 妹といっしょに帰るだけでなにが楽しんだか。「ごめん、いまから探偵事務所に行く...
2017.12.18 13:10あけちけの朝 明智家にて。 ある朝、お茶の間で朝食を食べているときのこと。 妹が俺に言った。「お兄ちゃんってさ、顔もよくて頭もよくて運動神経もよくてすごいよね。あたしの自慢のお兄ちゃんだよ」「まあね」 と、俺はクールに答えた。「あたし、ほんと幸せだと思うもん。カッコイイお兄ちゃんがいて」「ははっ。だって俺、芸能事務所の人にスカウトされたことあるしさ。...
2017.12.16 08:13来年受験か「今回のテストはちょっと微妙だったな。化学が足引っ張っちゃった」 俺は今日返された自分のテストを見直す。 すると、俺より二つ年上で大学一年生のお姉さんでもある逸美(いつみ)ちゃんが、俺のテストを手に取ってざっと見る。「でも、この試験問題すごく難しかったし、これだけ正解できたらまあまあじゃない?」「そうかな?」「うん。受験まであと一年あるし...
2017.12.15 12:42栄養ドリンクでスッキリ 疲れているときや頑張らなくちゃいけないとき、気合を入れたいときなど、みんなも栄養ドリンクを飲むことがあると思う。 ちょっとお疲れ気味の俺は、栄養ドリンクが飲みたくなった。 俺の名前は明智開。 世間からは探偵王子と呼ばれる高校二年生だ。 今日は土曜。 まだ朝だけど、俺はすでに探偵事務所に来ていた。 探偵事務所が開く前の時間なので、当然依頼...
2017.12.14 11:33幕間短編 色違いブーム ポケモンには色違いというものが存在する。同じポケモンでも通常の配色とは違う、非常に珍しいポケモンのことだ。 これをタマゴで孵化する大変さは、俺たちみんな知っていた。 というのも、俺たち少年探偵団のメンバーの中で、色違いブームがあったからだ。 みんなでこぞって色違いをタマゴから出そうと頑張ったのである。 時系列としては、良人さんがポケモン...
2017.12.14 11:21今年も蚊と戦った 毎年毎年、夏になると戦わなければならない相手がいる。 プーン、と音を立てて飛んで来て、気づくと俺のそばにいる。昼には身体の周りをウロチョロと、夜には耳元でやかましく、いつもすぐそばでその存在をアピールするのだ。そして、いつのまにか血を吸っているのである。 そう。俺の戦わなければならない相手――それは、蚊だ。 なにも俺だけが戦っている相手...
2017.12.13 13:59ポケモンバトル その4 良人VS凪 ついに凪と良人さんのバトルだ。 良人さんはしかと凪を見て、「ボク正直、トリは凪くんかなって思ってたんだ」「ほうほう。確かにぼくは、カレーはチキン派ですが?」「違うよ! そのトリじゃないって。最後に戦うのは凪くんにしようかなと思ってたってこと!」 凪はため息をつく。「そうか。良人さんも連敗続きで、この対戦を最後にするんだね」「だから違うっ...