2018.03.31 12:18山登りに行こう その5 鈴ちゃんが迷子になった。 凪のせいで。 というわけで、俺たちは鈴ちゃんを探すことになった。「まったく鈴ちゃんはしょうがないな。みんなではぐれた鈴ちゃんを見つけよう」 依然クマの着ぐるみを着て先頭切って歩く凪に、ノノちゃんが心配そうに聞いた。「凪さん。お顔大丈夫ですか?」 心配になる気持ちもわからなくはない。なぜなら、凪の顔は作哉くんにお...
2018.03.30 11:59山登りに行こう その4 山登りが始まった。 先頭を行くのはノノちゃん。 凪だけは着替えるためにここにいないが、凪が追いつきやすいように、俺たちはゆったり歩いていた。 まるでハイキングをしている気分である。 すると、木々に止まってさえずっている小鳥がいた。青くて綺麗な鳥だ。鳴き声も綺麗で癒される。「あの鳥はなんですか?」 ノノちゃんに聞かれて、逸美ちゃんが教えて...
2018.03.29 12:24山登りに行こう その3 土曜日。 山登り当日。 天気もよく、絶好のアウトドア日和だ。 昨日、まだどの山を登るか決めてなかったな……と思い出したが、すぐに沙耶さんから近場で初心者にも登れる山があるからそこにしようと連絡が来た。 ということで、かしこまったレインウェアなんかなくても大丈夫な私服で気軽に登れる山に挑戦だ。 現在、その山の最寄り駅にいる。「少年探偵団で...
2018.03.28 11:22山登りに行こう その2「ここにいるみんなで、登山に行こう!」 凪のその宣言に、ノノちゃんは拍手した。「わーい! パチパチパチ」 逸美ちゃんは順応が早いのかいっしょになって拍手を始める。「わーい」 そして、逸美ちゃんは拍手していた手を祈るように組んで、「それもいいかも~。楽しそうだわ。開くんのお写真いっぱい撮っちゃおう」「ったく、ノノが言うんじゃしゃあねェか。保...
2018.03.27 12:23山登りに行こう その1「見てください。もらったんです!」 嬉しそうにそう言って、ノノちゃんがくるりと回る。 ノノちゃんが見てもらいたかったのは、レインウェア。 いまは雨の時期ではないので、別のときに役に立ってくれそうだ。「ステキね~。ノノちゃん可愛いわよ」「えへへ。ありがとうございます」 逸美ちゃんに褒められて笑顔のノノちゃん。 鈴ちゃんがへえとつぶやき、ノノ...
2018.03.26 12:19信心があつい人 お父さんの車で移動中。 運転席にはお父さん、助手席には車酔いしやすい俺、後ろには凪と花音が乗っていた。 ちょっとしたおつかいを四人ですることになったんだけど、街を走っているとき、お父さんがとある家を指差して言った。「あそこの家、信心があついんだよ」 ほう。 今時珍しい。 うちは死んだおじいちゃんにお線香をあげたり、年末の大掃除の時に神棚...
2018.03.25 11:59路上ライブ 俺と凪と花音は駅前を歩いていた。 駅前っていうと、結構多いのが、路上ライブ。 俺が好きなアーティストにも路上ライブ出身のデュオがいるし、いい歌だと足を止める人がいたりコイン(気持ちのお金)を入れる人がいたり、注目を集めるよね。 三人ともあまり関心はなかったんだけど、凪が足を止めたから、俺と花音の足もつい止まってしまった。 コインを入れて...
2018.03.24 13:36日本の紙製品 海外では、日本の紙製品が高い評価をされているって、みんなは知ってるだろうか。 この日、探偵事務所にやってきたフランス人のお兄さんも、そんな話をしていた。「いや~! ニッポンの紙製品は素晴らしいデス!」「へえ。そうなんですね」 俺は初耳だった。 しかし逸美ちゃんは知っていたらしく、うんうんとうなずいた。「デザインもかわいくてオシャレで、な...
2018.03.23 10:51人差し指 凪と花音と街中を歩いていると、「開ちゃん。ほら、見てよ。あの人ちょっとヤバイ系かもしれないよ?」 と、親指で指し示した。 振り返って俺も見たが、本当にガラが悪い。 ロックをこじらせて失敗したヤンキーみたいになっている。 その通行人のお兄さんには聞こえないように、俺は小声で花音を注意した。「おい、そうやって指差しするなよ」 花音はぺろっと...
2018.03.22 13:23ゲームセンターでゲットだぜ その3 逸美ちゃんは集中して、横移動をうまく決めた。「あとは縦ね」「落ち着いて」 ボタンを押し、逸美ちゃんは機を見る。 そのとき。「はいっ」「はいっ」 凪の声がして、逸美ちゃんは呼応するように言って、バッと手を離した。 見れば、凪はただ、バスケットボールをリングに入れるゲームをしている人に、いちいちボールを渡しているだけだった。いまもはいはい言...
2018.03.22 13:22ゲームセンターでゲットだぜ その2 さて、俺たちはみんなでゲームセンターに入った。 さっそく作哉くんがUFOキャッチャーに挑戦するようだ。 コインを入れて、ボタンを押す。「おし。……ここだ!」 ウイーン、ガシャ。 だが、残念ながらノノちゃんの欲しいと言ったぬいぐるみにはかすりもしなかった。「ちくしょう! 惜しいな」「惜しくないぞー」 横から言うけど、本人には聞こえていない...
2018.03.22 13:21ゲームセンターでゲットだぜ その1 今日は少年探偵団の六人で仕事をして、その帰り道を歩いている。「今日もいい汗かいたな~」 凪が頭の後ろで手を組んで涼しそうに言った。「なに言ってるんですか。先輩、依頼人さんの家の高そうな壺にぶつかって冷や汗流してただけでしょ」「あれはノノちゃんが追いかけてくるからいけないんだ」「お仕事中に遊んじゃってごめんなさい」 ぺこりと頭を下げるノノ...